花に償い
わたしの人生の為にも、この店には続いてもらわねばならない。
「使えねえな」
「おい、そんなのに構ってるな」
「顔を見られたからにはこのままにはしておけねえ」
勝手に素顔を晒したのはそっちだ。わたしはちらと時計を見る。女将さんたちはまだ来る時間じゃない。
薫子は、ここで死ぬの?
運命は変わらない。それはそうか。わたしは救われても、誰も救ってはいない。
わたしの前に立つ強盗がナイフを取り出し、目の前に突きつけてくる。
視界の端にゆらりと動くものを捉えた。
「わたしがそれで命乞いすると思ったの?」