花に償い
かたん、という裏口からの音にレジスターを囲む強盗たちが振り向こうとしたのを引き止めるように言葉を発した。
「随分おめでたい頭ねえ」
ひとつ、救ったものがあった。
たったひとつだけ。
頭に血が上ったのだろう。ナイフを持った強盗はぴくぴくとこめかみを痙攣させ、わたしへナイフを振り下ろす。
その後ろから、暗闇の中から腕が伸びてくる。
首を押さえられ、酷く暴れる間もなく男は静かになった。
ちなみにレジスター前の強盗たちも静かに横になっている。死んだのかな、とそちらを窺う。
「薫子さま」
「肇」