花に償い
それが可笑しくて笑った。
遠くでサイレンの音がする。
「なんで泣くのよ。生きてるのに」
「俺は貴方が居なくては生きていけないんです……」
「そんなことないでしょう」
「あります。だから薫子さまの隣に置いてください……」
懇願するには大きく出てくるなあ、と天井を見る。
やり方が狡かった。
肇の人生を作り変えて、満足するつもりだった。
「そうねえ」
首に腕をかけると、何も言わず身体を起こしてくれる。
「わたしは賢い犬が大好きよ」
その頭を撫でる。あ、嬉しそう。