花に償い
歯車
目を覚ますと知らない部屋にいた。
懐かしくなるようなふかふかのベッドで寝返りをうち、身体を起こす。左腕と肩が痛む。
生きてた。
開いたカーテンの外は明るい。
着ている服はあの縫い合わせて使っている一着ではなく、シルクのつるりとした手触りの良い寝間着だ。
病院ではないことは分かる。誰かの部屋だ。
シーツから出した腕には包帯が巻かれていた。手当してもらったみたい。
……肇は?
記憶を手繰り寄せる。あの時、わたしの名前を呼んでいたからきっと、きっと無事なはず。
咄嗟に身体が動いてしまっていた。