花に償い

舌を舐められ、歯列をなぞられる。
上顎を舐められ、背中が震えた。

「ん、う、ハジ」
「はい」
「ちょっと」

顎を掴んでいない方の手が胸の下の肋あたりを、いやそれは静かに胸元を辿っていく途中だった。

それを掴んで止める。

「こういうことは、好きな人と為さい」
「好きな人……薫子さまです」
「いや、そうじゃ、」

真っ直ぐな視線を向けられ、何を言うべきか分からなくなる。

いやだめよ薫子、きちんと言わねば。

「貴方がわたしを慕ってくれてるのは分かるけど、似ているようで、違うのよ」

肇は聞きながら、わたしの口元についた唾液を指で拭ってくれた。

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