花に償い

「つまり、薫子さまは俺のことが嫌い……」
「そ、うじゃなくて」
「じゃあ好きですか?」
「す……あのね」
「優一さまの次くらいには好きですか?」

その名前が出て、記憶が蘇る。そうだ、優一にアプローチする為に肇にも色々やらせた。

ずき、と痛む胸。

「俺、何番目でも良いんです。薫子さまが傍に置いてくれるなら」

両膝を抱かれ、そんな風に言われる。

好きだなんて、知らない。
だって、肇は薫子を裏切って百合音の方へついた。だから百合音を好きになると思っていた。

でも、確かにその理由は薫子の為であったし、学園を追放された薫子の元へ通ってきていた。

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