花に償い
大通りの単独事故は怪我人は無しと判断されたらしい。
そうなると、掃除をしていたわたしは急に居なくなって急に帰ってきたことになる。
それに、わたしは一体誰にどうやって手当てされたのだろう。
うーん、と考えながらじゃがいもの皮を剥く。皹は相変わらずだった。
肇がわたしの名前を呼んだ時、花束を持っていた。赤い薔薇の花束。
確かあれは百合音に渡すものだった、はず。
それなら学園に戻れば良いのに、何故反対方面へ?
まあいっか、助かったんだし。
「薫子! 遅い!」
「あ、はあい」
「こっちも剥くんだからね!」
「はあい」
怒鳴られるのにも、もう慣れた。