毒にまみれた世界にて
(でも、これで間違っていたら迷うことなくお尻を!)

そう思いながら和子は解答用紙と照らし合わせる。そして丸つけが終わった時、彼女は愕然とした。

「あんた、何で……」

解答は一つも間違いがなかった。一瞬和子はカンニングを疑ったものの、昨晩はずっと秀はあの部屋にいた。そのため、この問題集の内容を事前に見るのは不可能である。

「それで、次はどの問題集をすればいいんですか?」

秀は淡々とそう訊ねる。和子は「じゃあ……」と言い、今度は数学の問題集を渡した。刹那、秀は一瞬にして笑みを浮かべる。

「数学ね!任せといて!」

口調も明らかにさっきよりも明るく、どこかおかしい。戸惑う和子だったが、秀は鼻歌を歌いながら解き始める。

(何なの、この子……)

数分後、数学の問題集を秀は解き終え、和子はまた答え合わせをする。間違った問題は一問もなかった。

続いて国語や理科、そして社会の問題集をやらせたものの、間違いは一つもなかった。それを見て、祖母が「まあ!」と感激の声を上げる。
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