毒にまみれた世界にて
秀はそう言うようになり、見事それを実現させた。高校は県内屈指の進学校で、生徒会長と部活のキャプテンを務め、ハーバードへ留学することも決定した。

「おばあちゃん、お母さん、お父さん、今までありがとう。今日は俺がご飯を作るから……」

高校を卒業したその日、秀は家に帰るなりそう言い、キッチンへ入った。お祝いにお寿司でも取ろうか、と和子は義母と話していたため、秀の行動に少し驚く。だが、キッチンから漂ってくるいい匂いに、まあいいかと考え直した。

テーブルの上に並べられたのは、まるで高級ホテルのディナーかと思うほど豪華なもので、料理までプロ並みに作れることに和子は言葉を失う。

「おいしいジュースも買って来たから、みんなで乾杯しよう」

グラスに秀はジュースを注ぎ、一人ずつ手渡していく。

「乾杯!!」

チン、と音を立ててグラスがぶつかる。一気に和子たちはジュースを飲み干した後、豪華な食事を食べ始めた。
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