Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
・クリスマスの朝
クリスマスの朝、みのりはまだ暗い部屋で目を覚ました。とても深く眠れた気がするのに、体はとても重だるい。加えて、冬の朝はとても寒い。
みのりは布団から出たくなくなった。もちろん今日も仕事にはいかなければならないけれど、壁にかかる時計を見たら、あと1時間は眠れそうだ。寝過ごしたらいけないので、目覚ましをセットしておこうと体を動かした拍子に……気がついた。
自分が遼太郎の腕の中に包まれていることを。
遼太郎は12歳年下のみのりの恋人。大学生の遼太郎は、年末に故郷へ戻ってきた際、自分の親に元気な姿を見せるよりも先に、みのりのもとへ駆けつけてくれていた。
遼太郎は、高校で教師をするみのりの、3年前の教え子だった。
みのりが遼太郎に〝日本史〟を教えたのは彼が高校3年の1年間だけだったけれど、出会った当初から些細な場面で、みのりの意識の中で印象に残る生徒だった。
特別、遼太郎が目立つ生徒だったというわけではない。自己主張も控えめだったし、どちらかというと学生服を着た集団の中では埋没してしまうタイプだっただろう。
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