Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
たくさんいる生徒の中から何人かが、思い入れのある生徒になる。その思い入れのある生徒も何人もいるのに、遼太郎はみのりのたった一人になれた。いや、こんなにも溢れてる人の中から、遼太郎をたった一人にしてくれた。
「先生は俺と出会った時は、他の人と付き合ってましたよね?」
「………えっ?!」
みのりは遼太郎との個別指導を思い出に浸り、切ない恋心を疼かせていたのに、遼太郎の質問の方向性が変わって、かすかに顔を顰めた。
「その人と別れた後、なぜ古庄先生を好きにならなかったんですか?」
「……は!?なんで古庄先生?」
みのりはまるで、青天の霹靂のような反応だった。
「古庄先生は、あんなに目が覚めるみたいなイケメンだし、性格だって明るくて優しいし……女の人だったら誰だって好きになりそうだから……」
「ああ、そういうこと。……確かに古庄先生はイケメンでいい人だけど、だからって好きになるほど、私は単純じゃないわ。なんていうのかな?恋愛感情とは波長が違うの。彼は気づいたら一緒にいた弟みたいなものよ」
「あ…、古庄先生とおんなじだ……」
遼太郎のつぶやきを聞いて、みのりも思考を巡らせる。
「……なんだ。さっき古庄先生と、そんな話をしてたのね?」
とても優しい声色で、みのりが息を抜いた。