Rhapsody in Love 〜二人の休日〜


高校生のあのときの感覚がよみがえる。あのとき、みのりがそんな想いを抱えて接してくれていたなんて、当時の遼太郎は思いもよらなかった。
そして、今隣にいてくれるみのりは、あのときと同じ想いでこの手を握ってくれている……。


遼太郎はもう我慢ができそうになかった。どこかに車を停めて、みのりを抱きしめようと思った……その時、


「……あっっ!!」


みのりが突然大きな声を上げた。


ドキッ!

と遼太郎の心臓が大きな鼓動を打つ。


「私、今すごくいいアイデア浮かんじゃった!!」


「……は?アイデア?」


高校生の頃の切ない想い出の中にトリップしていた遼太郎は、訳が分からなくて目を(しばた)かせた。


「後で相談したいって言ってたでしょ?愛ちゃんのこと」


「ああ、ふっくんの妹の話ですか?」


「愛ちゃんね、実は俊次くんのことが好きなのよ」


「…………………」


みのりの口からサラッと出てきたその話の内容が、遼太郎にはすぐには理解しがたく、車内には沈黙が漂った。そして、その意味に気づいて、


「えええ————っっ!!!」


と、驚きのあまりハンドルを変な方向に切りそうになった。


「まだ告白できてないから、俊次くんにも黙っててね?」


「……はい……」


遼太郎は返事をしながら、あのガキっぽい俊次のどこを好きになったのだろう……と、疑問を感じずにはいられない。


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