Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
「俺は、過去がどんなに辛かったかなんて、どうでもいいんです。今は、先生と一緒にいられて幸せだから。……むしろ、過去の辛さは、今が幸せだって分かるための大事な要素なんです」
「……そうだね。なんでも順調だったら、今がこんなに幸せだって思えてなかったかもね」
みのりの声色が落ち着いたのを聞いて、遼太郎も胸を撫で下ろす。
「そうです。……それで?ふっくんの妹の話は、何でしたっけ?」
「そうだった、愛ちゃんね。……わ、私が遼ちゃんと離れて、…つ、辛くて泣いてたらね……」
みのりは感情が乱れそうになるのを必死に耐えて、気持ちを落ち着けなおして続けた。
「我慢しないで会いに行ったらいいって、間違ってたと思うんなら謝ればいいって……言ってくれたの。それで、一緒に勇気出そうってことになって、私は遼ちゃんに会いに行ったんだけど…」
「要するに、彼女がいてくれたから、今俺は先生と一緒にいることができてるわけですね?」
「そう!その通りなのよ。だけど、愛ちゃんは花園予選が終わって告白するって言ってたのに、何もできてないままで…。だから、何か役に立てないかと思ってたところなの」
二俣がみのりに会いに高校へ行って、遼太郎の住所を教えてくれたことといい、二俣兄妹には返しきれないほどの恩があるようだ。
特に愛は、ずっとみのりの側にいて、みのりを支えてくれていた。