Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
愛の想いを寄せる相手が俊次だということは、遼太郎としては微妙な感覚があるが、できることなら両想いになってほしいと思った。
「それで、さっき思いついたんだけどね……」
と、みのりが浮かんだアイデアを言いだそうとしたところで、
「あ、先生。ちょっと待ってください」
遼太郎が話を遮って、車を路肩に寄せた。
坂道のカーブを大きく曲がるところの路側帯が広くなっていて、車が数台程度停められるスペースがある。そこに、ポツンと仄暗い街灯が一つ燈っていて、ガードレールの向こう側には生い茂る木々もなく、谷が見下ろせる場所のようだ。
そこで、遼太郎はシートベルトを外して外に出た。
何かを踏んだり、ぶつかったりしたのだろうか…?しかし、遼太郎は車の様子を見るわけでもなく、ガードレールの方へ向かって行き、谷を覗いている。みのりが首を傾げながら様子を窺っていると、遼太郎はみのりの座る助手席側へ来て、ドアを開けた。
「先生、来てみてください」
と、みのりの手を取って車から降ろし、暗い夜道の路側帯を歩いて、ガードレールの方へと連れて行く。
そして、遼太郎の隣に立ち、ガードレールの向こうを見下ろして、みのりは、
「は……!」
と、息を呑んだ。