Rhapsody in Love 〜二人の休日〜


眼下の谷あいが、まるで宝石箱のように、(きら)びやかな光の装飾で彩られている。
谷の真ん中を貫く川沿いの木々、街道沿いの家々の屋根や庭木に光の粒がちりばめられ、山の斜面には大きなもみの木を(かたど)った電飾が輝いていた。


みのりは言葉もなく、その現実とは思えないような光景を、ただじっと見入っている。遼太郎はそんなみのりの綺麗な横顔を、ただじっと見つめ続けた。


山々の合間を風が抜けてゆく。体温を奪うその冷たさからみのりを守ろうと、遼太郎はみのりを背中から抱きしめた。腕の中に閉じ込められて、みのりは嬉しそうに肩をすくめる。
遼太郎もみのりの髪に頬をつけて、みのりの目に映っているのと同じ景色を見つめた。



「遼ちゃん…。すごく素敵なクリスマスプレゼントだね…」



遼太郎の腕の中から、みのりがつぶやく。



「はい…。本当にすごく綺麗ですね……」



遼太郎もそうつぶやいて、しばらく感慨に耽っていたが、突然フッと息を漏らした。


「……俺の手柄にしたいところだけど、これは、古庄先生からのプレゼントです」


「え……古庄先生?」


また出てきた古庄の名前に、みのりは意味を探るように遼太郎を振り返った。


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