Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
「だけど、遼ちゃんがこっちにいる間に、もう一回くらい二人っきりになりたい……。難しい?」
寂しさを押し隠しながら、みのりはそう訊いて唇を噛んだ。
遼太郎の胸が痛いくらいにキュッと絞られた。みのりの心と遼太郎のそれは、まるっきり同じだった。
「難しくありません。なんなら、時間を見つけて毎日来ます」
それを聞いて、みのりは嬉しがるどころか寂しそうに笑った。
「そんなことしてると、遼ちゃん。実家でゆっくりできないでしょう?ちゃんと親孝行もしなきゃ」
みのりに指摘されると、遼太郎の恋情に浮かされた衝動も消沈してしまう。
「……先生は仕事もあるし、実家にも帰省するんですよね?」
「……うん。仕事納めの後に、やっぱり帰らなきゃ、ね……」
みのりは眉間に皺を寄せて、苦悩を漂わせる渋い顔をした。
実家に帰ると、また〝結婚〟のことを持ち出されることは歴然としていて、みのりは考えただけでもうんざりした。
遼太郎が、その渋い表情の意味を探るように見つめてくる。
「遼ちゃん、年明けのOB会の後は、どのくらいこっちにいるの?」
みのりから問いかけられて、遼太郎は考えた。