Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
年明けに予定している就職活動のことを、必死に思い出す。
ベンチャー企業などの中小企業では、もう採用選考が始まっているところもある。遼太郎も何社かエントリーしていて、本来ならば帰省などする暇もないくらいだった。
そんな現状が頭の中を駆け巡り、遼太郎は黙り込んでしまう。
みのりはその様子を見て、遼太郎の状況を敏感に察知した。
「遼ちゃんは今、すごく忙しいんだよね?…やっぱり難しいだろうから、無理しないで。ほんと言うと、帰省しないのかと思ってたくらいだから、こうやって会いに来てくれただけで十分嬉しいの」
「いや、難しくありません…」
遼太郎は考えながら、もう一度同じことを答えた。東京に戻る前に、何としてもまた会いたいと思っていたのは、遼太郎も同じだった。
すると、みのりは遼太郎をじっと見つめて、テーブルに両手をつくと身を乗り出した。
「遼ちゃん。今、一番大事なのは就活だから。他のことに目を向けたり、優先して考えたりしちゃダメよ。集中しなきゃ!」
その口調はまるで、受験生の遼太郎に少し厳しくハッパかけてる時のみのり、そのまんまだった。
遼太郎の中に、その時の感覚が蘇る。条件反射で思わず息を呑むと、高校生の時のように体を縮こまらせた。