Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
しかし、次の瞬間にハタと気がつく。自分はもう、経験値の低い高校生ではないことに。
真剣な目で見つめてくるみのりに視線を合わせると、遼太郎は緊張を解き、フッと息を抜いて微笑んだ。
「就活はもちろん大事ですけど、先生のことも大事です」
そう言いながら、みのりの張り詰めた気迫のこもった手に、そっと自分の手を重ねた。
みのりは遼太郎を見つめて、黙り込んだ。
自分の言っていることを、遼太郎は理解してくれていない。みのりはそう思い込んで、重ねられた手に戸惑ってしまう。
「東京にはOB会が終わった次の日に戻る予定にしています。OB会の日の夜は、二次会っていうか、飲み会があるんですけど、その日の夜、ここに泊まっていいですか?」
「………!!」
遼太郎の提案を聞いて、厳しい意思が表れていたみのりの顔は、たちまち恋する乙女の顔になった。
みのりの頬が桜色に上気する。嬉しさを飲み込むように唇を噛むと、こくんと一つ頷いた。
その可愛らしさに、遼太郎の顔もにんまりと優しく緩んでしまう。
重ねていた手をギュッとお互い握り合って、想いが通じ合えていることを確かめた。