Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
「ご機嫌じゃん。鼻歌なんか歌っちゃって」
遼太郎が実家のリビングに足を踏み入れると、自転車で一足先に帰っていた俊次が、大容量のシェイカーでプロテインを飲みながら、ソファーで寛いでいた。
「ん?鼻歌?俺、歌ってた?」
大きなリュックをリビングの隅に置いて、遼太郎は俊次へと声をかける。
「自分で気づいてないの?そう言えば、兄ちゃん。今日の練習でも機嫌良かったよな?何かいいことでもあった?」
俊次の鋭い指摘に、遼太郎はギクリと肩をすくめた。キッチンのシンクで手を洗いながら答えに窮する。
自分でも思ってもみないかたちで、〝いいこと〟が顕れてしまっているのかもしれない。でも、やっぱり今はまだ、俊次に知られるわけにはいかなかった。
「いや、特に何もないけど。久々にラグビーで体動かしてスッキリしたからかな。OB会も楽しみだし。……あ、プロテイン、俺にも頂戴」
遼太郎の言葉を聞いて、俊次はソファーの背もたれ越しに、遼太郎へプロテインの空のシェイカーを差し出す。
遼太郎はそれを受け取って、再びシンクに行ってそれを洗った。
「あ、兄ちゃん。青リンゴ味にして。チョコとストロベリーは飲んだらダメだかんね」