Rhapsody in Love 〜二人の休日〜




本当はみのりは自分の〝彼女〟で、自分のことを『どうしようもなく好きだ』と言ってくれたことを、俊次に暴露したくなる。


だけど、この様子では、俊次に知られてしまったら大事になるのは必至だった。大事になって、みのりに迷惑をかけてしまうのだけは、避けなければならない。

そんなことを考えながらシェイカーを振って、出来上がったプロテインを一口飲み込んでみる。


「……うわ、ホントに不味いな。これ」


と、遼太郎が顔を(しか)めた時だった。


「みのりちゃん……、あれ、彼氏がいるよ」


ポツリと俊次が呟いたことに、遼太郎は二口目のプロテインをゴクリと飲み込むと同時に、息を止めた。

みのりの〝彼氏〟は正真正銘、遼太郎自身だ。その事実を、すでに俊次が知っているのかどうなのか…。


俊次の言葉の真意を探るために、その顔を確かめようとしたけれども、ソファーの背もたれに隠されて見ることはできなかった。


「……え……?!」


プロテインの不味さも忘れて、遼太郎はとりあえず俊次に向かって反応してみる。


「みのりちゃんの(うなじ)に、キスマークがあった」


ドッキンと遼太郎の心臓が跳び跳ねる。みのりのそこにキスをした時の光景が甦ってきて、遼太郎の体は反射的にカッと熱くなった。



< 160 / 253 >

この作品をシェア

pagetop