Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
・俊次と愛
みのりが学校へ着くと、すでに時計は9時を示していた。
「おっせーよ!みのりちゃん!!呼び出しといて、自分が遅れてんじゃんかよー」
うすら寒いから渡り廊下で、俊次はすでに長机について準備している。
みのりは俊次のもとへ走って向かおうとしたけれど、足に思うように力が入らず、走ることがままならない。
「ごめんね。走ろうとしたら足がガクガクして……」
「足がガクガク…って、激しい運動でもしたのかよ?」
確かに、それの心拍数の上昇度合いと息切れ具合は、みのりにとって激しい運動に匹敵した。
「『激しい運動』……。だったかもね」
ぽつりと零れでたみのりの言葉に、俊次が気に留める。
「へぇ、みのりちゃんが運動なんて、意外。一人でやってんの?」
「え……ま、まあ、そうね……」
——ほんとは、あなたのお兄さんとさっきまで……。
心の中にある真相は語れるはずもなく、みのりはお茶を濁すような返答しかできなかった。この話題は、俊次とは非常に話しにくいので、目を逸らすためにも早速勉強に取り掛からせることにする。
「さあ、雑談してると時間なくなっちゃうよ。今のうちに課題しないと、家じゃしてないんでしょ?」
「え、まあ、……そう」
俊次もみのりと同じように歯切れの悪い返事をして、机へと向き直った。