Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
と言うのも、これはみのりが画策したことだった。
みのりの実家のお寺のお守りを、俊次から愛に渡してもらうという計画。それを実行するため、みのりは遼太郎に、愛をこのOB会に参加させるように頼んでおいた。それで、俊次のことは二俣には内緒で、遼太郎を通して二俣に動いてもらったという訳だ。
「最後のご奉公だね」
「どうだか。また来年も駆り出されてるっぽいけど」
もう間もなく、この愛も卒業してしまう。それを思い出すと、みのりは本当に寂しくなってしまう。みのりにとって愛は、遼太郎とはまた違った〝特別な生徒〟だった。
愛が雑用をするため持ち場に戻ると、それから間もなくしてOB会が始まった。
グラウンドに大体の年代別に集まったOBの数は総勢100人以上はいるようで、みのりが想像していたよりも大がかりな会だった。
会の会長や世話役の挨拶があって、普通の練習のときのように、ウォーミングアップが始まる。俊次のような現役生から、上は80代くらいのお爺ちゃんまで。その光景は、芳野高校のラグビー部の歴史そのものだった。
ウォーミングアップは30分ほどかけて念入りに行われ、その間みのりはやることもなく、パイプ椅子に座ったままそれを見守った。