Rhapsody in Love 〜二人の休日〜




「みのりちゃん、心配すんな。高校生相手に、簡単にぶっ潰されたりしねーから」


そう言ったのは、二俣。その視線は、みのりの方ではなく、俊次に睨みをきかせていた。


「でも、引退して三年のブランクがあるじゃない?現役でやってる選手とマジでやるのは……大丈夫なの……?」


今日来ているOBの大学生の中に、大学の部活でラグビーを続けている者はいない。

表情を曇らせるみのりに、二俣はギョロリとした目を向けた。


「は?誰に言ってんの?俺と遼ちゃんが一緒なんだぜ?なんてったって、県大会の決勝まで行ったんだから」


——いや、だから。それ、三年前の話でしょ!


そのツッコミが口から出て来そうになったけれど、みのりは言葉を飲み込んだ。闘志に燃える二俣に水を差すなんて、そんな空気を読めないことは憚られた。

そんなみのりの心を読んで、遼太郎が口を添える。


「先生、ほんとに心配しなくても大丈夫です。俺もふっくんも、特に現役生と試合をする大学生のOBは、年末から部活に出て備えてるんです。それに、練習が必要なスクラムなんかは、安全のため押し合わずに形だけで進めますから」


「…なんだ、そうなの。それじゃやっぱり、年末は早めに部活に行ってて正解だったね」




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