Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
みのりが安心して息を抜くと、遼太郎もニコリと笑ってみのりの言葉に同意する。
その何気ない様子の中に漂う甘さを感じ取って、二俣はどうしても我慢ができずに茶々を入れたくなる。
「ふーん…、なんかみのりちゃんは、年末に遼ちゃんが部活に出てるの知ってるっぽいけど、どういうことかなぁ~?」
「……!!?」
その言葉に遼太郎が反応するよりも早く、みのりが血相を変えて二俣の口を両手で押えた。
「ちょっと…!!俊次くんに聞かれたら、大変なことになるでしょ!!」
「大変なことになるって、どういうことかなぁ~?」
完全に面白がってる二俣は押さえられてる口を動かして、みのりをからかうことをやめようとしない。
「もう!大騒ぎになって試合どころじゃなくなるじゃない!!」
焦ったみのりは、顔を赤くして躍起になる。
幸い、他のラグビー部員たちと円陣を組んでいる俊次の耳には入っていないらしい。
じゃれ合ってる二人を傍目に見て、遼太郎はタオルを手に水場へと向かった。そして、ギュッと絞って濡れタオルを作ると、戻ってそれをみのりに渡す。
「……?」
意味が分からないみのりが、遼太郎を見上げる。
「さっき、ふっくんの口を押さえてたから…。先生が自分の口を触るかもしれないし」
遼太郎はマウスガードを口に入れながら、普通の会話のようにサラッと言い残した。
みのりは思わず、フッと息を抜いて笑ってしまう。遼太郎は思いの外、些細なことにもヤキモチを焼いてしまうみたいだ。
二人きりじゃないときには、こんな遼太郎の一面も知ることができる。それを可愛いと思ってしまったみのりは、唇の端から笑みがこぼれるのを抑えられなかった。