Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
遼太郎の腕に当たったボールは、遼太郎の前に跳ね落ちる。それをすかさず拾い上げた遼太郎は、迷いもなく走り、あっという間にゴールラインを越えてボールを着地させた。
「トライ!」
走って追いついて来たレフリーの片手が高く上がり、ワッ!と観戦者からも歓声があがる。
始まってから、まだ5分しか経っていない時の快挙だった。
「うわーっ!!すげー、遼ちゃん!!」
二俣が遼太郎のもとに走り寄り、抱きついた。
二俣の興奮に比べ、当の遼太郎は表情ひとつ変化させなかったが、その澄ました態度の裏で、
——ふん。なにが、『俊次くん、ナイスー』だよ……。
と、心の中では呟いていた。
みのりがここに来ている名目は、〝俊次の応援〟。それは遼太郎も分かっているけれども、みのりが他の人間の応援をしていることが気に食わなかった。
OB側の選手達がトライの喜びに沸く間も、みのりはこの遼太郎のプレーに魅せられて、両手で口を押さえて声にならない歓声をあげていた。
——皆さん!あの、めちゃくちゃカッコいい人は、私の彼氏なんですー♡
みのりはあまりに誇らしくて、大声で宣言したい気分だった。