Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
「さすがだな。あそこで蹴るのを予測してたんだろう。チャージの後も対応も見事だし、高校生の時より上手くなってるんじゃないか?」
「大学ではラグビーやってないのに、上手くなるものなんですか?」
江口の分析に、みのりが少し驚いたように応える。
「確かに、高校生の頃のガチガチにやってた頃よりは、フィジカルの能力は落ちてるかもしれないけど。思考力や判断力は大人になってから優れてくるからね」
「そうなんですね。その思考力や判断力があれば、高校生相手だと、一枚上手になり得るわけですね」
「ま、そうかもしれん。特に狩野は高校生の時から落ち着いてて賢かったけど、いっそう思慮深くなったな。ラグビースクールやここの部活なんかで、コーチをしてるのもプラスになってるんだろう。全体を見渡して、物事を見極める力が付いたと思うよ」
「ふふ。それ、私にじゃなくて、是非本人に言ってあげてください。絶対喜ぶと思います」
遼太郎が褒められるとみのりも嬉しくなってくる。けれども、当の遼太郎はトライの快挙に浮かれることもなく、極めて冷静なものだった。
逆に、クールになるどころか燃え盛ってしまったのが、俊次だ。