Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
遼太郎とのことは、まだ俊次には気取られていないらしく、みのりは胸を撫で下ろす。
二俣は、そのあまりに迷いのない俊次の言葉を聞いて、思わず心に浮かんだ言葉が口を衝いて出てくる。
「……俊次、お前。……哀れなヤツ……」
みのりが自分だけを応援していると疑わない俊次を、二俣は可哀想にさえ思えた。
「はあ?!」
しかし、俊次は怪訝な顔をして、不快そうな声を出した。
「まだ負けたわけでもないのに、なんで俺が哀れなんだよ!後半は絶対に逆転してやるんだからな!!」
言葉の意味を取り違えている俊次に向かって、二俣は失笑する。
「なに笑ってんだよ!!」
と、ますます息巻いたところで、江口から喝が飛んできた。
「俊次!!お前はどこに行ってるんだ!!」
他のチームメイト達は円陣を組んで、後半に臨む対策を話し合っている最中だった。
跳び上がった俊次は一目散に走って、円陣の中に入る。
「さあて、いつまで秘密にしとけるかな?あれじゃ、ある意味、可哀想だぜ?」
二俣は大きな目をぐるりとさせて、みのりに忠告してくれた。
その時、OB達の輪の中から遼太郎が、二俣を振り向いて声をかける。