Rhapsody in Love 〜二人の休日〜




「うわーっ!!やだやだ!!そこで、お兄ちゃんは登場してほしくない!」


そう叫んで首を左右に振っていた愛は、突然、


「はっ!!」


と何かを気取り、みのりの腕を掴んだ。

そして、みのりを無理やりパイプ椅子から立ち上がらせて、さらに引っ張った。その次の瞬間、


バン!!


と激しい音を立てて、飛んできたボールがパイプ椅子に直撃していた。


間一髪、みのりは愛の機転と運動神経で、あのボールがあの勢いでぶつかる事故を回避できた。


「……はぁ、びっくりした。愛ちゃん、ありがとう」


みのりは速くなった鼓動を深呼吸で宥めながら、ひっくり返ったパイプ椅子を元に戻した。


これに、密かに血相を変えていたのが遼太郎だ。本当は駆け寄りたいのを、必死で我慢した。真っ青になってその場に立ちすくみ、遠くからみのりを見守った。


代わりに反応したのが、俊次だった。


「おい!どこに蹴ってんだよ!!みのりちゃんに向かって蹴ってんじゃねーよ!!」


OBの一人が蹴ったボールだったが、俊次はそんなことはお構いなしで、その体と同じく態度も人一倍大きかった。

それでも、こんな時に素直な反応をしてくれるところが、俊次の可愛いところでもある。



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