Rhapsody in Love 〜二人の休日〜




「みのりちゃん、大丈夫か?」


駆け寄ってきて、声をかけてくれる。


「うん、大丈夫」


みのりが笑顔で答えたにも関わらず、俊次は真面目な顔をする。


「みのりちゃんも、ここじゃ、ちゃんと試合に集中してないと危ないから。これマジで」


この俊次の厳しさに、みのりは一瞬言葉を失った。


「……うん、そうだね。気をつける。今も愛ちゃんがいてくれなかったら、ほんとに悲惨なことになってたと思うし」


みのりがそう言って肩をすくめると、俊次は愛へと視線を向けた。


「よし!お前、でかした!」


そして、親指を立ててそう言い残すと、ラインアウトへと戻っていく。


「なによ。それ、上から目線!!」


愛は思わず口答えしたけれど、その怒ったような表情が次第に赤らんでくるのを、みのりは見逃さなかった。

だけど、それを敢えて指摘するような野暮なことはしなかった。
今、愛が感じている想いを噛み締めてほしかった。大切にしてほしかった。


——愛ちゃん。この後きっと、一生忘れられないようなことが起こるからね…!


今日、そのために愛はここにいる。
鍵となるみのりの実家の寺の〝お守り〟は、まだみのりのバッグの中にある。



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