Rhapsody in Love 〜二人の休日〜




みのりは「用事ができたから」と、俊次にこのお守りを愛に渡すよう(ことづ)けて、先に帰るつもりだった。

その時に愛が経験するであろう感覚を想像すると、みのりの心までもが切なく甘く震えてくる。


——どうか、うまくいってほしい……。


みのりは一足先に、バッグの中のお守りにその願いを託した。



肝心の試合の方は、膠着状態。
後半が始まって、まだどちらも得点していない。

体力も消耗してきて、お互いかなりしんどい時間帯に差し掛かってきた。特にOBは、普段はラグビーから遠ざかっているとあって、肩を上下させて呼吸も苦しそうだ。


そんな中で、俊次のスタミナがものを言い始める。絶対に負けたくない俊次は、誰よりも機敏に、そして根気良く、ピッチ上を走り回っていた。


パスを受けて走り始めた俊次に、衛藤がタックルに行ったけれども、俊次は倒れなかった。倒れず衛藤を振り払い、前に走り出す。

ちょうどみのりが観戦していた辺りまで来た時、そこに待ち構えていたのが二俣だ。
お互い巨漢同士、トロールとゴーレムの一騎打ち。俊次は()けることなどせずに、二俣の挑戦を真っ向から受けて立った。



< 193 / 246 >

この作品をシェア

pagetop