Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
みのりは「用事ができたから」と、俊次にこのお守りを愛に渡すよう託けて、先に帰るつもりだった。
その時に愛が経験するであろう感覚を想像すると、みのりの心までもが切なく甘く震えてくる。
——どうか、うまくいってほしい……。
みのりは一足先に、バッグの中のお守りにその願いを託した。
肝心の試合の方は、膠着状態。
後半が始まって、まだどちらも得点していない。
体力も消耗してきて、お互いかなりしんどい時間帯に差し掛かってきた。特にOBは、普段はラグビーから遠ざかっているとあって、肩を上下させて呼吸も苦しそうだ。
そんな中で、俊次のスタミナがものを言い始める。絶対に負けたくない俊次は、誰よりも機敏に、そして根気良く、ピッチ上を走り回っていた。
パスを受けて走り始めた俊次に、衛藤がタックルに行ったけれども、俊次は倒れなかった。倒れず衛藤を振り払い、前に走り出す。
ちょうどみのりが観戦していた辺りまで来た時、そこに待ち構えていたのが二俣だ。
お互い巨漢同士、トロールとゴーレムの一騎打ち。俊次は避けることなどせずに、二俣の挑戦を真っ向から受けて立った。