Rhapsody in Love 〜二人の休日〜




「おーい、みのりちゃーん!今の見た?俺のスーパープレイ!」


OBのフルバックがペナルティキックを蹴る最中に、二俣がみのりに向かって大きく手を振った。


「うん、見たよー!すごかったー!」


と応えた時、みのりは観衆の視線が一斉に自分の方へ集まっていることに気がつく。

二俣に振っていた手を、みのりは思わず引っ込めて、目立たないように小さくなった。


——もう!二俣くんのバカバカ!私がこんなに目立って、どうするの…!!


みのりがパイプ椅子に座って顔を赤くし、恥ずかしさに悶絶していると、俊次の雄叫びが聞こえてくる。


「くっそ〜っっ!!なにが『みのりちゃーん』だ!絶対、取り返すぞ!!」


俊次は疲れるどころか、ますますヒートアップした。


——もうヤダ…。『みのりちゃん』って言わないで……。


ひっそりと集中して遼太郎のプレーを堪能したいと思っていたみのりの目論見は、あっけなく崩れ去っていた。


その時、試合に出ていないOBの一人から声をかけられる。


「もしかして、二俣くんの彼女さんですか?」


「……ええっ?!」


みのりは驚きのあまり、変な声を出してしまった。
さらに、視線を感じてそちらを見ると、遼太郎と目が合った。ドキン!とみのりの心臓に、さらに負荷がかかる。



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