Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
二俣はスクラムの最後尾を担うナンバーエイトのポジションにいる。
——あ!そうか…!
スクラムを見ていた遼太郎が閃いたのと、二俣がボールを拾い上げてサイドアタック(※)を仕掛けたのと、ほぼ同時だった。
二俣は相手のフランカーやスクラムハーフをその巨体で振り払いながら、トップスピードで走り出した。さすがに県の選抜メンバーになっていた実力は、3年経っても健在だ。
虚を突かれたのは、敵も味方も同じだった。誰もが二俣の動きにとっさの判断ができずに、次の動きをするまで一瞬の間が必要だった。
ラグビーではこの一瞬がものを言う。
ただ遼太郎だけはアタックラインを抜け出して、ディフェンスラインを突破した二俣のフォローをするために走り出していた。
二俣は突進し、ゴールラインの手前で自分でトライをするか、フォローしている遼太郎にパスを出してトライさせるか迷った。その瞬間のことだった。
怒涛のように走って追いついてきた俊次に、体が吹っ飛ばされる激しいタックルを受けて、タッチに出されてしまった。
「おおおお—————!!!」
「ナイスタックル————!!」
俊次のこの闘志あふれる素晴らしいプレーに、高校生たちや観衆は大いに沸いた。
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【サイドアタック】
ラグビーで、スクラム・ラック・モールなどの密集の横をついて攻撃すること。