Rhapsody in Love 〜二人の休日〜




俊次はその体の大きさからフォワードのポジションを担っているが、実は俊足が任されるウイングの選手よりも足が速かった。


「ちっ…、あとちょっとでトライだったのに」


「ふん!ジャッカルのお返しだ!」


二俣と俊次は、そんなことを言い合いながらラインアウトの列に並ぶ。
中でも俊次は、〝絶対に負けたくない〟という気持ちが全身から溢れ出ていた。


遼太郎も〝負けたくない〟と思った。
このままいけば、きっと試合には勝つだろう。でも、遼太郎はそれよりも、俊次との〝勝負〟に勝ちたいと思った。

チャンスが巡ってくるかは分からない。それでも、もしその時が来た時には、絶対に弟には負けるわけにはいかないと思った。


高校生ボールのラインアウトで、順当に高校生はボールをキープする。にわか(こしら)えのOBチームより、セットプレーに関しては高校生の方が上手だった。

陣地を回復したい高校生側はパスを繋いでキックをし、ボールをタッチラインに出す。今度はOBボールのラインアウトになり、ここでも遼太郎の出番はない。まんじりとアタックラインを作って待つしかない。



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