Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
ラインアウトでボールをキープしたフォワードから、ボールがバックスへ展開される。
今日の遼太郎のポジションは、スタンドオフではなくセンター。スタンドオフは1つ下の宇津木に譲ったので、遼太郎は第2のスタンドオフとも言えるインサイドセンターを任されていた。
宇津木からパスを受けると、待ち構えていたように遼太郎の対面がタックルに来る。それを見越していた遼太郎は、相手の懐にボールを抱えて突っ込むと、そのまま地面に倒れ込む。遼太郎がボールを味方に差し出しながら地面に置くと、寄って来た敵味方によってラックが形成される。遼太郎はその下敷きになり、密集からボールが出されてから立ち上がる。
そして新たに再び密集ができ、そこからボールが出されるのを待つ。
——このままじゃ、同じことの繰り返しで、そのうち体力に余裕のある高校生にターンオーバーされてしまう。
遼太郎が予想した通り、ラックができてボールが出されてと、何度もフェイズが重ねられて攻撃が続いているけれど、ゲインライン(※)は越えられないまま、体力ばかりが消耗していく。
——ショートパント(※)で裏に出して、突破するか?
パスを受けた遼太郎がそう思ってキックを蹴ろうとした時、高校生側が作るディフェンスラインに隙間ができた。
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※スクラム、ラインアウト、ラック、モールなどの中心から、ゴールラインと平行に仮想で引かれた線を【ゲインライン】とい言い、次のプレーでその線を少しでも越えることを【ゲイン】という。
ラグビーは後ろにしかパスできないので、ゲインをすることは陣地を広げることになる。
※ボールを足元に落とし地面に着く前に蹴るキックをパントといい、相手の後方等へボールを短く蹴りだすキックを【ショートパント】という。