Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
考えるよりも先に、遼太郎の体は反射的に動いていた。その隙間を突いて、一気に前に走り出る。
「……!!」
高校生たちが一斉に『しまった…!!』と思っていることは、みのりにも見て取れた。
突破されてディフェンスラインが崩れた高校生たちが、焦って必死に対応しようとしている。しかし、こんな場合は高校生でなくても難しい。
遼太郎は一気にゲインし、周囲に気配を探し味方のフォローを確かめる。
その時だった。遼太郎の目の前に俊次が立ちはだかっていた。
「うぉ!あいつ、なんであんな所に?!」
OBの一人が思わず叫ぶ。
「ああ!!ミスマッチだ!!」
江口も遼太郎の身を案じてか、声を上げていた。
ミスマッチとは、ぶつかり合う二人に体格やスピードの差がありすぎること。バックスで細身の遼太郎とフォワードで巨漢の俊次とでは、その大きさの差は歴然としていた。
俊次は真っ向からぶつかるつもりで、低く構えて待ち受ける。
みのりは先程の俊次と二俣のコンタクトの激しさを思い出して、思わず息を止めた。
そして、遼太郎も俊次との勝負を受けて立つ——。