Rhapsody in Love 〜二人の休日〜




「あれは、遼太郎が俊次をハンドオフしたんだ」


「ハンドオフ?」


みのりが聞き返す。
すると、江口はそこにあったボールを拾い上げる。


「おい、ちょっとタックルに来るフリしてみろ」


と、OBの一人にタックラーの役をさせて、ハンドオフの技を実演して見せてくれた。


「ハンドオフって、ボールを持ったプレーヤーがタックルしようとする相手を、こうやって手で突き離して防ぐことだ。体を相手側に傾けて肘を伸ばして力を集中させて、一番効率よく力が伝わる場所を突くんだ。肩を当てて来てる時には肩、胸を当ててくる時には胸。遅すぎず早すぎす、ベストなタイミングで突くのが肝だ。遼太郎はそれら全てをほぼ完璧にお手本みたいなハンドオフした。だから、あの大きな俊次が吹っ飛ばされたんだ」


「へぇ〜…!!」


みのりは両手を胸元で組んで、感嘆の声を上げた。


——遼ちゃん!!二俣くんでも、俊次くんでもなくて、やっぱりあなたが一番カッコいいわ……!!


みのりは全く感心してしまって、頬を染めて目をキラキラさせた。

実演して見せた二人は、そんなみのりの可愛らしい反応を見て、すっかり勘違いして気を良くし、顔を赤くして口元を緩ませた。



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