Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
試合に出ていた選手達はゾロゾロと、ピッチの中央付近に集まってくる。
そんな中で、不完全燃焼だった俊次が一人で不服を唱え始めた。
「ロスタイム!!ロスタイムがあるだろ?まだ終わりじゃねーだろ!?」
確かに、この試合のロスタイムは計測されていない。勝敗を決するための試合ではなく、レクレーションとしての試合だったし、この後も年配のOBの試合なども控えているからだ。
「あと5分くらい。ロスタイムの分、延長してくれよ!」
諦めそうにない俊次に、レフリーを始め、その場にいた皆が困った顔をする。これは、顧問の江口が出でこないと収拾できないのでは…と、思われた時、
「俊次、『ノーサイド』ってレフリーが言ってるだろ?」
試合に出た選手たちの中から、遼太郎の声が響いた。
ピッチの上では、レフリーの言うことは絶対だ。でもそれ以上に、俊次にとって4つ年上の兄の言葉は重みがあった。
俊次はしぶしぶ口をつぐむ。
皆は一同にホッとして、心の中で遼太郎に賞賛を贈る。そして、ハーフウェイラインを挟んで整列すると礼をして、ようやく高校生とOBの試合は終わった。