Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
——遼ちゃん?こんなところで〝遊ぶ〟って!?……なにもそんな焦らなくても、今晩ウチに来るんでしょ?
みのりはそんなことを思いながら、部室の方へ行く遼太郎の背中を追って、人混みの中から抜け出した。
遼太郎はみのりの疑問に答えないまま、部室の中に入る。そこはかつて、遼太郎から抱擁されたことのある場所でもあった。
みのりもドキドキしながら、ほのかな期待を抱いて、部室に足を踏み入れようとする。しかしその時、一足先に遼太郎がラグビーボールがたくさん入ったネットの袋を抱えて出て来た。
「……?!」
遼太郎はみのりに目配せしつつ、その前をスルーすると、その辺で遊んでいた子ども達に声をかける。
「これからラグビーボール使って遊ぶよ。遊びたい人はこっちへ来てみて」
すると、子ども達はこれが目当てだったらしく、すぐに集まって来た。
「さあ、先生もこっちへ来てください」
遼太郎に手招きされて、みのりはハッとする。
——あっ!〝遊ぶ〟って、そういうこと!?
みのりは思わず、そこから逃げ出して物陰にでも隠れたくなった。
——私ったら、何を考えてるの?!あの真面目な遼ちゃんが、こんな状況で〝そんなこと〟するわけないじゃない!!