Rhapsody in Love 〜二人の休日〜





「そっか、子ども用。このボール、普段の部活じゃ使わないよね?この会に来た子ども達のためにあるの?気が利いてるよね」


みのりの褒め言葉に、遼太郎は微笑みをはにかんだ笑顔に変えた。


「これ、去年のOB会に合わせて、俺が自前で揃えた物なんです」


その事実に、みのりは目を見張った。


「え!自前で?!……って、それ。かなりお金がかかったんじゃない?」


「まあ、1個四千円くらいだったですから……」


それを聞いて、みのりは無言でラグビーボールの数を数える。その数はみのりの手にある物も含めて、ざっと15個ほど。そして頭の中で計算して、もう一度目を見張った。


「これ全部、遼ちゃん一人で?」


「はい」


単純に計算して、六万円。それは学生にとって、決して安くはない金額だ。それにこのボールは、普段ここでは決して必要な物でもなかった。


「どうしてそこまでして、寄付してあげようと思ったの?」


遼太郎の行為を疑問視するような問いだったが、何かそこに遼太郎の思いが込められているに違いない。みのりはそれが知りたかった。


「俺、ラグビースクールで子ども相手に指導をしているじゃないですか。高学年になるとかなりキツい練習もしますけど、特に低学年のうちは、ラグビーボール持って本当に楽しそうなんです。だから、お父さんと一緒にここに来ても、やることなくて時間を持て余している子ども達を見て……何か楽しめるものはないかと思って……」



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