Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
遼太郎の言葉を聞きながら、みのりも推理する。
おそらく最初の年にそんな子ども達を見ていた遼太郎は、次の年にこのラグビーボールを準備したのだと。そして、それを覚えていた子ども達は、今年も遼太郎が一緒に遊んでくれることを待っていたのだと。
「すごいね、遼ちゃん!本当にいいことしてると思う。そういうの気づいてても、なかなか行動に移せる人っていないと思うの」
みのりはなんだか、心の底から嬉しくなった。
自分の好きな人は、とても素晴らしい人だと当然知っていたけれど、自分が思っていたよりもずっと素晴らしいことに改めて気づくことができた。
みのりの手放しの賞賛に、遼太郎は恥ずかしそうに笑って告白する。
「……これも全部、先生のおかげです」
その言葉に、みのりは驚いた顔になる。
「…えっ?!どうして私の?今だって、見習いたいって思ってるくらいなのに?」
その戸惑う様子がとても可愛くて、遼太郎も自然と優しい顔になる。
気づいて行動に移せた原動力。
それは他でもない、みのりに相応しい大人にならなければ…という思いだった。
自分を高めるためには、今何をすべきか。
みのりと別れて離れ離れになっていた間、遼太郎がずっと心に宿していたことだった。