Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
「先生が言ってた〝いい男〟だったら、こんな時どうするかな?…っていうのが、俺の行動基準なんで」
そう言ってみのりを見つめた遼太郎のその表情こそが、〝いい男〟でしかできないものだった。
みのりはまた別の意味でびっくりする。
あまりにも遼太郎が〝いい男〟になってしまっていることに。
遼太郎の気持ちがこもった小さなラグビーボールを抱えて、みのりは密かにドキドキと胸を高鳴らせた。
「みんなが自由にしてる間に、先生。ちょっと手伝ってもらっていいですか?」
遼太郎はボールと一緒に持って来ていた細いロープの束を解きながら、そう言った。
「うん、何すればいいの?」
みのりもラグビーボールをそこに置いて、遼太郎の手元を覗き込む。
「このロープをピンと張るように持っててください」
言われるままにみのりが地上のロープを引っ張ると、遼太郎は釘のような金属を金槌で打って、ロープの所々を地面に固定していく。
遼太郎が何をしようとしているのか、みのりはワクワクしながらその作業を見守った。
見る見る間に、10メートル四方の正方形ができると、遼太郎が一声かける。
「よし。みんな!ボール持って集まって」
子ども達はすぐに集まってきて、遼太郎を取り囲んだ。幼稚園の子や小学生たち。その中に大人はみのり一人だけだった。