Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
幼稚園児たち三人が仲良く5個ずつのボールを集め、みのりは0個の結果となった。
みのりは決して〝手加減〟はしなかったものの、子ども達が『先生に負けるな』の言葉の通り、集中的にみのりの場所にあるボールを取りに行ったことに因る。加えて、みのりは最低1個は確保できるはずのボールも手放してしまっていた。
「やったー!先生に勝ったぞ!」
と、喜ぶ幼稚園児を見てみのりは、
「あー、楽しかった!」
と、全く悔しがる様子はなく、ニコニコと顔をほころばせた。
「コケたから、怪我してませんか?」
心配して問いかけてくる遼太郎にも、みのりは笑顔で返した。
「ううん、大丈夫。あんなの、遼ちゃんがタックルくらうのに比べたら、大したことないし」
と答えつつ、実は膝小僧と両方の掌がジンジンしていた。
遼太郎もみのりにばかり構っていられず、次のグループのゲームに取り掛かる。
てきぱきと、それでいて楽しそうに子ども達に対する遼太郎を、みのりは頼もしい気持ちで見つめた。
——遼ちゃん、教師の才能もあるんじゃない?
遼太郎の新たな一面を知ることができたようで、嬉しい気持ちと胸がキュッと軋むような甘い感覚がみのりを包んだ。