Rhapsody in Love 〜二人の休日〜




「ねえ、もう一回したい!!」


一回だけでは物足りなかった子ども達から要望が出た。〝やれない〟理由などないので、遼太郎は子ども達が飽きるまででもさせてあげるつもりだった。
けれども、気がかりなのはみのりのこと。遼太郎が確認するようにみのりに視線を向けると、みのりはギクリと体をすくませた。


——…や、やれと言われたら、やるけど……。


楽しいことには変わりなかったが、もう一度あの醜態を見せてしまうと思うと腰が重くなった。そこに、救いの天使が現れる。


「あの、仲間に入れてもらえますか?」


と、やはり幼稚園児くらいの男の子がお母さんと一緒にやって来てくれた。

みのりと同じように、遼太郎もホッとした顔をする。みのりの意思を確認するまでもなく、その男の子をみんなの中に招き入れた。


それからは、和やかな時間が流れた。


「おーい、次は不惑チームの試合するぞー」


隣のピッチでは、〝不惑〟すなわち40歳以上のプレーヤーが2チームに分かれて試合を始めている。年代別にパンツの色が決まっていて、いろんな年代の人が一緒にゲームができる工夫が凝らされている。
年配のお爺ちゃんまで楕円球を抱えて走って、本当に生涯ラガーマン。こんなところでも、みのりはラグビーを奥深さを知ることができたような気がした。


子ども達はボール集めゲームに興じた後は、また別のグループを作ってグループ対抗のボール運びのゲームをしている。遼太郎が提案するいろんな競争は、楽しみながら運動能力を高められるようにとても良く考えられていて、子ども達は真剣に取り組みつつ歓声が絶えることはなかった。




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