Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
・OB会 ⑥
「みのりちゃん……っ!!」
戦慄して言葉さえかけられない遼太郎の代わりに、声を上げたのは俊次と二俣だった。
三人の男が三方向から、それぞれにみのりに駆け寄った。
遼太郎は顔面を蒼白にさせて、倒れたみのりを抱き起こそうとする。すると、二俣がそれを止めた。
「遼ちゃん!脳震盪かもしれないから、動かさない方がいい」
忠告されて遼太郎が、みのりを仰向けにして地面に寝かせ直す。
「みのりちゃん、ごめん!今のは、わざとじゃない!俺、無意識に投げてしまって……」
焦った俊次が意識のないみのりに、大きな声で許しを請うた。
「わざとなわけないだろ?分かってるから、騒ぐな」
二俣に一喝されて、俊次はグッと言葉を抑え込む。そして、「江口先生、呼んでくる」と呟いて踵を返し、その場を離れた。
気を失っているみのりを見て、遼太郎の脳裏にあの忌まわしい出来事が思い出される。腕を刺されて気を失ったみのりのあの青白い顔。あの時の光景がオーバーラップして、思わず遼太郎は震えてしまう。
「動かさない方がいいけど、このままここに寝かせとくわけにも行かないよな?」
みのりを見つめるばかりで何もできない遼太郎に、二俣が声をかける。それでやっと遼太郎は我に返って、幾分冷静になった。