Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
「部室にストレッチャーがあるから、それを……」
と遼太郎が立ち上がりかけた時、ジャージの裾が引っ張られた。
「……遼ちゃん。大丈夫……」
みのりが寝そべったまま、眩しそうに目を瞬かせて遼太郎を見上げていた。
「ちょっと…びっくりしただけだから……」
と、早く何事もなかったように振る舞いたいみのりは、地面に手をついて起き上がろうとする。しかし、遼太郎はそれを許さず、みのりの両肩を掴んでゆっくりと元に戻した。
「みのりちゃん。頭打ってるかもしれないから、今は横になってないと」
遼太郎の横から覗き込んでいる二俣からも制される。みのりが見上げると、二俣だけでなく、子ども達やそのお母さん達、OB達が取り囲んでいた。
——やだ…!!私、部外者なのに、こんなに目立って迷惑かけて……。
みのりは恥ずかしさと情けなさで、もうこのまま消え入りたいと思った。
そこに、江口を連れて俊次が戻ってくる。江口だけでなく、駆けつけてくれたOBの一人は救急救命士で、気を利かせたラグビー部員たちがストレッチャーを持って来ていた。