Rhapsody in Love 〜二人の休日〜




みのりは遼太郎と二俣によって持ち上げられ、ストレッチャーの上に寝かし直される。そして、ストレッチャーに載せられて、グラウンドの端の方へと運ばれた。


「……ううっ、恥ずかしすぎる……」


みのりは思わず、両手を顔を覆って呟いていた。自分のドンくささの結果、こんなふうに皆の注目を一身に浴びて、身の置き所がないような感覚だった。


「先生、きちんとチェックだけはしてもらいましょう。何もなければ俊次も安心できますから」


ストレッチャーの片方を担う遼太郎が、そう言って気持ちを落ち着かせてくれる。みのりが手を外して遼太郎を見上げると、遼太郎は心配しながらもニコッと笑顔を向けてくれた。


それから、救急救命士のOBがみのりの横に来て、いろいろチェックをしてくれた。

名前や誕生日を訊いたり、今いる場所を答えさせたり、数を逆から数えさせたり……。当たり前のことをいろいろと試されるので、みのりはますます戸惑ってしまう。


——どこが痛いとかじゃなく、こんな分かりきってること訊くって…?!


OBの横にいて見守ってくれている遼太郎に、みのりは目線で困惑を訴えた。すると、遼太郎は優しい目になって、みのりを諭してくれる。


「脳震盪の一般的なチェックですから、質問の内容自体に深い意味があるわけじゃないです」


遼太郎は脳震盪について、よく理解しているようだ。



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