Rhapsody in Love 〜二人の休日〜




〝頭を打って倒れる〟という事例は、ラグビーをやっていると頻繁に起こりうることだけれども、だからと言っておろそかな対応はしない。
危険なスポーツだからこそ、常に異常がないか確認し、細心の注意が払われる。

だから、みのりのことも〝ちょっとぶつかっただけ〟なんて、誰も思っていなかった。


OBが遼太郎の言うことに同意するように頷くと、気を取り直して質問を続けた。


「今日、最初の試合で最初に得点したのは誰でしたか?」


「それは、ここにいるりょ…狩野くんです!」


「プハッ…!!」


あまりにも迷いなくみのりが即答したので、側で様子を窺っていた二俣が、思わず笑いを吹き出した。

OBとみのり、そして顔を赤くした遼太郎が、一斉に二俣を見つめると、二俣はククク…と笑いながら、


「いや、なんでもないです。すんません」


と謝った。


それから、みのりは体を起こして、また別の検査をされる。


「自分の鼻と私の指の先とを、交互に何度か触ってください」


いわゆる指鼻試験と言われるもので、これができないと小脳の異常が疑われる。

ようやくそれっぽい内容の検査になり、みのりは真面目な表情で頷いた。まず自分の鼻先を指で触れ、それからOBの指先に触れ、それを繰り返した。


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