Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
調子良く続けていると、OBは不意に指の位置を移動させた。
「……!?」
みのりはまごつきつつも、辛うじてOBの指にタッチする。すると、また指の位置を動かされる。
みのりはOBの指の行く先に気を取られて、自分の鼻に触ることを忘れてしまう。
「……あっ!」
とっさに自分の鼻に触って、OBの指を触ろうとしたが、焦るあまり、違う場所に向かって指を差し出してしまう。
「………」
検査をうまくこなせないみのりに、OBは少し〝異常〟を感じ取ってしまう。
けれどもすかさず、二俣が横から口を出した。
「先輩、心配しなくても、これは単にみのりちゃんがドンくさいだけです」
「ドンくさい?」
OBは確認するように、二俣からみのり、遼太郎へと視線を移す。遼太郎も取り繕うことができず、二俣に同意して頷いた。
みのりは否定もできず、決まりが悪いので、笑って誤魔化すしかなかった。
OBは微妙な不安を抱えながら、一通りの検査をすることに徹した。
「それじゃ、立ってみて。利き足を前に出して、その踵にもう一方の足の爪先を付けて、腰に手を当てて。それで、目を閉じて20秒間」
みのりはゆっくり立ち上がると、言われた通りのポーズをして目を閉じた。その瞬間に、いきなりグラッとよろけてしまう。