Rhapsody in Love 〜二人の休日〜




「……いや、やっぱり今日は安全第一で。コーヒーは俺が淹れます」


心配性の遼太郎は、みのりからヤカンを受け取ろうと手を伸ばした。と、その瞬間、みのりはヤカンを引っ込める。


「遼ちゃん。先に手を洗って」


みのりの指摘を受けて、遼太郎も思わず手を引っ込めた。

ウインドブレーカーの中で、ジャージからパラパラと砂が落ちているような錯覚が走る。先程、スパイクを脱いだ時にソックスは履き替えていたけれど、ジャージは試合をしてからそのままの状態だった。


「あの先生。俺、手だけじゃなくて全部砂まみれなんで、先にシャワーさせてください」


「あ、そうだね。ごめんね、気が付かなくて。シャワーしてきて。タオルの場所分かるよね?」


みのりがそう言ってヤカンを調理台の上に置くと、遼太郎も浴室へと身を隠した。


「汚れ物は洗濯機に入れておいて、後で洗ったらいいよ」


「はい」


という会話の後、みのりは途端に手持ち無沙汰となった。でも、下手に動くと遼太郎が心配するので、おとなしくしていることにする。
居間の真ん中に座ろうとした時、みのり自身もグラウンドに倒れたことを思い出して、とりあえず着替えることにした。



< 241 / 263 >

この作品をシェア

pagetop