Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
だけど、今は抱きしめることだけに徹した。雑念が混ざってくると、自制の堰はいとも簡単に決壊してしまう。
すると、みのりは遼太郎の胸から顔を上げて、遼太郎を見つめた。
「遼ちゃん?キスは?」
——くぅぅ…、もう!……限界だ!!
キスをしてしまうと、それだけで終われるか遼太郎には自信がない。だけど、こんなに可愛い懇願をされたら拒否できるわけがない。
キスをしてそのまま押し倒してしまうと、今日はずっとその行為に耽ってしまいそうだ。
だから、遼太郎は渾身の力で理性を総動員して、みのりの両肩に手を置いて向き直った。
そして、頭を傾けるとみのりの唇に、チュッと触れるだけの短いキスをした。
今朝のベッドで交わした、お互いが溶け合ってしまいそうなキスと比べたら、〝キス〟とは言えないようなものだった。
みのりはキョトンと、ちょっと意外だったような顔をしたが、すぐににっこりと笑った。
「遼ちゃん、ごはん食べた?何してたの?」
遼太郎は、みのりのその言葉の響きが、まるで生徒のときのものと同じようだと思った。でも、あまりにもその響きが心地良いので、俊次みたいに少し甘えてみたくなる。